貯蓄初心者向け:家計簿アプリの予算設定で「計画的に」お金を貯める方法
漠然とした将来への不安を感じ、「そろそろ貯蓄を始めなければ」と考えている方は多いのではないでしょうか。手書きの家計簿に挑戦したものの、なかなか続かなかったという経験をお持ちかもしれません。スマホで手軽に管理できる家計簿アプリには関心があるものの、「ただ支出を記録するだけで本当に貯まるのだろうか」「何から始めたら良いか分からない」と感じているかもしれません。
家計簿アプリは、単に支出を記録するだけでなく、お金を計画的に管理し、貯蓄を加速させるための強力なツールとなります。特に、多くの家計簿アプリに備わっている「予算管理機能」は、貯蓄を成功させる上で非常に重要です。
今回は、貯蓄初心者の方でも家計簿アプリの予算管理機能を活用し、無理なく計画的にお金を貯めるための具体的なステップをご紹介します。
なぜ貯蓄に「予算管理」が必要なのか
家計管理というと、まず毎日の支出を細かく記録することから始めようとする方が多いかもしれません。確かに支出の記録は大切ですが、それだけでは「何にいくら使っているか」は分かっても、「いくら貯められるか」「どうすれば貯められるか」が見えにくい場合があります。
ここで必要になるのが「予算管理」という考え方です。予算管理とは、収入の範囲内で、項目ごとに「いくらまで使うか」という上限をあらかじめ設定し、その計画に沿ってお金を使うことです。そして、使いすぎを防ぎ、貯蓄に回す分のお金を意図的に確保することを目的とします。
たとえるなら、目的地(貯蓄目標)にたどり着くために、漠然と歩くのではなく、地図を見てルート(予算)を決め、燃料(収入)を計画的に使うようなものです。予算管理を行うことで、無駄な支出に気づきやすくなり、意識的にお金をコントロールできるようになるため、貯蓄体質へと改善していくことができるのです。
家計簿アプリで予算管理をするメリット
家計簿アプリを使えば、この予算管理が驚くほど手軽になります。アプリで予算管理を行う主なメリットは以下の通りです。
- 進捗がリアルタイムでわかる: 支出を記録するたびに、設定した予算に対してあといくら使えるのかが自動的に計算され、グラフなどで視覚的に表示されます。今月あとどのくらい使えるかを常に把握できるため、使いすぎを防ぎやすくなります。
- 項目別に細かく設定できる: 食費、外食費、交通費、娯楽費など、支出項目ごとに細かく予算を設定できます。自分の支出傾向に合わせて、メリハリのある予算を組むことができます。
- 予算の修正が容易: 実際に管理してみる中で「この項目の予算は少し厳しすぎた」「こっちの項目は余裕がありそう」といった気づきがあった場合に、アプリ上で簡単に予算額を変更できます。柔軟に見直しを行いながら、自分に合った予算を見つけることができます。
- 過去のデータに基づいた予算設定の参考に: アプリに蓄積された過去の支出データは、現実的な予算を設定する上で非常に役立ちます。無計画に予算を決めるのではなく、実際のデータに基づいた無理のない目標を設定できます。
- モチベーション維持: 予算内でやりくりできた達成感や、貯蓄が増えていく様子がアプリで確認できるため、家計管理を続けるモチベーションにつながります。
家計簿アプリを使った予算設定の具体的なステップ
では、実際に家計簿アプリを使って予算管理を始めるにはどうすれば良いのでしょうか。以下のステップで進めてみましょう。
ステップ1:収入を正確に把握する
まずは、手取りの収入額を正確に把握します。毎月同じ額であればその額、変動する場合は平均額や最も少ない月の額を基準にしても良いでしょう。複数の収入源がある場合は、それらを合計します。
ステップ2:支出を把握し、固定費・変動費に分ける
次に、現在の支出状況を把握します。家計簿アプリに数ヶ月分の支出データを記録・連携させている場合、そのデータが集計に役立ちます。支出は大きく分けて「固定費」と「変動費」に分類できます。
- 固定費: 毎月ほぼ決まった額が出ていく支出です。家賃(住宅ローン)、通信費、光熱費(ある程度一定の場合)、保険料、サブスクリプションサービスなどがこれにあたります。
- 変動費: 月によって金額が変わる支出です。食費、外食費、日用品、交通費、娯楽費、被服費などがこれにあたります。
家計簿アプリで、これらの項目が自動的に分類される機能があると、集計の手間が省けて便利です。まずは現在の固定費の合計額を正確に把握しましょう。
ステップ3:貯蓄目標額を決める
将来の漠然とした不安を解消するためにも、具体的な貯蓄目標額を設定しましょう。「1年後に〇〇万円貯める」「毎月〇〇円貯める」といった具体的な数字があると、モチベーションを維持しやすくなります。最初は無理のない、現実的な目標額を設定することが大切です。手取り収入や固定費、現状の支出傾向を踏まえて、「これならできそう」と思える金額を設定しましょう。
ステップ4:各カテゴリの予算を設定する
収入から固定費とステップ3で決めた貯蓄目標額を差し引いた残りが、変動費に使える金額の目安となります。この変動費を、食費、日用品、外食費、娯楽費などのカテゴリに割り振って予算を設定していきます。
過去の支出データを参考に、「この項目には平均でこれくらい使っているから、今月はこれくらいに抑えよう」「無駄遣いが多いと感じる項目は少し厳しめに設定してみよう」のように調整します。初めて予算を設定する場合は、過去の平均支出額を参考に、少しだけ目標額を下回るように設定してみるのがおすすめです。
ステップ5:アプリに予算を設定する
利用している家計簿アプリの機能を使って、ステップ4で決めた各カテゴリの予算額を入力します。多くのアプリでは、月ごとの予算、または項目ごとの予算を設定する画面が用意されています。設定が完了すれば、日々の支出を記録・連携させるたびに、予算に対する達成率や残額が自動的に表示されるようになります。
予算管理を成功させ、貯蓄を継続するコツ
予算を設定したら終わりではありません。設定した予算を意識しながらお金を使い、定期的に状況を確認することが、貯蓄成功の鍵となります。
- こまめにアプリをチェックする: 支出を記録したら、予算の進捗をアプリで確認する習慣をつけましょう。「今月はあと食費にいくら使えるか」「娯楽費が予算に近づいてきたから少し控えよう」など、意識しながら行動できるようになります。
- 予算オーバーの原因を分析する: もし特定のカテゴリで予算をオーバーしてしまった場合は、落ち込む必要はありません。なぜオーバーしたのか(急な出費があった、計画性が足りなかったなど)を振り返り、翌月の予算設定やお金の使い方の改善に活かしましょう。
- 予算は柔軟に見直す: 最初のうちは、設定した予算が現実と合わないこともあります。無理な節約はストレスになりますので、必要に応じて予算額を見直しましょう。大切なのは「守れない予算」ではなく、「管理しやすい予算」にすることです。
- 予算内で楽しめる工夫をする: 予算を守ることをゲームのように楽しんでみましょう。例えば、食費の予算内で新しいレシピに挑戦したり、娯楽費を抑えるために無料のイベントを探したりするなど、創意工夫が継続につながります。
- 先取り貯蓄と組み合わせる: 収入が入ったらすぐに貯蓄分の金額を別の口座などに移してしまう「先取り貯蓄」は、予算管理と組み合わせることでさらに効果を発揮します。先に貯蓄分を確保してから残ったお金で予算管理を行うことで、「使いすぎて貯められなかった」という事態を防ぐことができます。多くの家計簿アプリは、銀行口座との連携によって、貯蓄用口座の残高もまとめて管理できます。
まとめ
家計簿アプリの予算管理機能は、将来の漠然とした不安を解消し、計画的に貯蓄を始めるための非常に有効な手段です。まずは手取り収入、固定費を把握し、無理のない貯蓄目標と予算を設定してみましょう。
予算管理は、最初から完璧を目指す必要はありません。使ってみる中で「ここは改善できそうだ」と感じた部分を少しずつ調整していくことが大切です。家計簿アプリを活用し、日々の支出を意識しながら予算を守る習慣を身につけることで、きっと計画的にお金を貯めることができるようになります。
家計簿アプリは、あなたの家計の「見える化」を助け、貯蓄への道のりをナビゲートしてくれます。ぜひアプリの予算管理機能を活用して、将来に向けた一歩を踏み出してみてください。